寒い冬の夜。

外に出て、暗闇に広がる無数の星を眺める。
別に星が好きなわけじゃないけど、ただ何となくこうしていたい。
星は綺麗だからとか、星を見て癒されたいだとか。
星空を眺める明確な理由なんて、俺にはない。
元からそんな趣味なんてなかったし。

だけど………

ある日、偶然見かけたんだ。
お前が星を眺めている姿を。
星なんか見てもいい事なんてないのに、お前は嬉しそうで。
馬鹿じゃないのと思ったけど、その姿はとても綺麗だった。

それからだ。
俺がわざわざ寒い中、外へ出てまで星を眺めるようになったのは。

……俺らしくないなぁ。

柄にもないことをしている自分に、少し腹が立つ。

「……はぁ」

なんだかアホらしくなってきて、つい短いため息をついた。
そして、そのまま地面に腰を下ろし、仰向けの状態になる。
星空にそっと手を伸ばした。
今にも星を掴めそうなのに、掴んだと思った手は空を切る。

………まるでお前みたいだ。










「螢國?」

しばらく考え事をしていると、いつの間にか見慣れた顔が目の前にあった。

「……何をやっているんだ」

呆れ顔の辰伶が問う。

「別に…。星見てるだけ」

「…星を見るのもいいが、長い間外にいると風邪を引くぞ」

確かにいいかげん寒くなってきた。

「心配してくれてんの?」

「なっ…!べ、別にそういうつもりじゃないっ!!お前は人の善意を無駄にする気か!?」

顔を真っ赤にして辰伶が言う。

……ほんとは心配してくれてるくせに。

冗談でそう言おうとしたが、そんなことを言えば多分怒られるだろうから、そろそろ戻るとしよう。
いつか二人で星を見られるといいけど、まぁ辰伶のことだから無理かな…と淡い期待を胸に秘めて、その場を去る。





夜空に輝く星達は、今日も美しい輝きを放っている。





Fin.